持続可能な開発目標へ向けた進捗状況を測定する — 目標 14. 海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する—
Japanese translation of “Sustainable Development Goal (SDG) Tracker”
データを視覚化するサイトOur World in Data(データで見る私たちの世界)が展開するプロジェクト “Sustainable Development Goal (SDG) Tracker” (SDGトラッカー)の翻訳です。こちらのページからSDGトラッカーのその他の目標の翻訳へ移動できます。以下、訳文です。
持続可能な開発目標14:大洋・海・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
国連は次のように説明しています:「私たちの海 — その温度、循環、化学、および生態系 — は、地球を居住可能にするための基本的な役割を果たします。
私たちの雨水、飲料水、天候、気候、海岸線、食物の多く、さらには私たちの呼吸する空気中の酸素もすべて、究極的には海によって供給され、調節されています。歴史を通して、大洋と海は貿易と輸送における必須の導管でした。この必要不可欠なグローバル資源の慎重な管理は、持続可能な未来の鍵となるような特徴です。」
国連はSDG14に対して10のターゲットと10の指標を定義しています。ターゲットは目標を詳細に述べるものであり、指標はこれらのターゲットが達成されたかどうかを世界が追跡するための測定基準を表しています。以下では、私たちはすべてのターゲットの元の文章を引用し、合意された指標に関するデータを示します。
ターゲット14.1:海洋汚染を削減する
国連の定義:「2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。」
SDG指標14.1.1:海洋汚染を削減する
定義:指標14.1.1は、「沿岸富栄養化指数および浮遊プラスチックごみの密度」です。
目標:2025年までに、「あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。」
このターゲットは、2030年を期限とするほとんどのSDGとは異なり、2025年が期限として設定されています。
私たちは現在、この指標のためのデータを知りません。フィードバックフォームを使用して、この指標の利用可能なデータをお知らせください。
ターゲット14.2:生態系の保護および回復
国連の定義:「2020年までに、海洋および沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続可能な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋および沿岸の生態系の回復のための取組を行う。」
SDG指標14.2.1:生態系の保護および回復
定義:指標14.2.1は、「生態系を基盤とするアプローチを用いて管理された各国の排他的経済水域の割合」です。
目標:2020年までに、「海洋および沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、持続可能な管理と保護を行う。」
このターゲットは、2030年を期限とするほとんどのSDGとは異なり、2020年が期限として設定されています。
私たちは現在、この指標のためのデータを知りません。フィードバックフォームを使用して、この指標の利用可能なデータをお知らせください。
ターゲット14.3:海洋酸性化を減少させる
国連の定義:「あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。」
SDG指標14.3.1:海洋酸性化を減少させる
定義:指標14.3.1は、「承認された代表標本抽出地点で測定された海洋酸性度(pH)の平均値」です。
目標:2030年までに、「海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。」
私たちは現在、この指標のためのデータを知りません。フィードバックフォームを使用して、この指標の利用可能なデータをお知らせください。
ターゲット14.4:持続可能な漁業
国連の定義:「水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続可能収量を生産できるレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業および破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。」
SDG指標14.4.1:持続可能なレベルの水産資源
定義:指標14.4.1は、「生物学的に持続可能なレベルの水産資源の割合」です。
この指標は、世界の水産資源のうち、過剰に利用されている、完全に利用されている、または完全に利用されていないものの割合を測定します。水産資源の持続可能なレベルとは、完全に利用されていないか、完全に利用されている水産資源のことです。過剰に利用されている水産資源は持続不可能です。
資源量が最大持続可能収量(MSY)以上の水産資源は、生物学的に持続可能なものとして分類されます。資源量がMSYレベルを下回ると、その資源は生物学的に持続不可能と見なされます。
目標:「水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続可能収量を生産できるレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業および破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。」
このターゲットは、2030年を期限とするほとんどのSDGとは異なり、2020年が期限として設定されています。
さらなる研究:世界および各国の漁獲および海産食品生産量のさらなるデータと研究は、Our World in Data(データで見る私たちの世界)の肉および海産食品の生産と消費のエントリーで見つけられます。
ターゲット14.5:沿岸域および海域を保全する
国連の定義:「2020年までに、国内法および国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域および海域の10パーセントを保全する。」
SDG指標14.5.1:保護海域
定義:指標14.5.1は、「海域に関する保護領域の範囲」です。
特定の海域(特に特別な科学的関心と生物多様性の高い領域)は、しばしば国内法および国際法に則り指定され保護されています。この指標は、この保護のために指定されている領海の割合を測定します。
目標:2020年までに、「国内法および国際法に則り、少なくとも沿岸域および海域の10パーセントを保全する。」
このターゲットは、2030年を期限とするほとんどのSDGとは異なり、2020年が期限として設定されています。
追加のチャート:
絶滅のおそれのある魚種
ターゲット14.6:過剰漁獲につながる補助金を撤廃する
国連の定義:「開発途上国および後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる特定の形態の漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。」
SDG指標14.6.1:違法・無報告・無規制漁業と闘う
定義:指標14.6.1は、「IUU漁業(Illegal(違法)・Unreported(無報告)・Unregulated(無規制))と対峙することを目的としている国際的な手段の実施状況の国別の進捗」です。
目標:2020年までに、「過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる特定の形態の漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。」
このターゲットは、2030年を期限とするほとんどのSDGとは異なり、2020年が期限として設定されています。
ターゲット14.7:海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる
国連の定義:「2030年までに、漁業、水産養殖および観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国および後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。」
SDG指標14.7.1:持続可能な漁業からの所得
定義:指標14.7.1は、「GDPに占める持続可能な漁業の割合」です。
目標:2030年までに、「漁業、水産養殖および観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国および後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。」
私たちは現在、この指標のためのデータを知りません。フィードバックフォームを使用して、この指標の利用可能なデータをお知らせください。
ターゲット14.A:海洋の健全性のための科学的知識、研究、技術を増進させる
国連の定義:「海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、および海洋技術の移転を行う。」
SDG指標14.A.1:海洋技術のための研究資源
定義:指標14.A.1は、「総研究予算額に占める、海洋技術分野に割り当てられた研究予算の割合」です。
目標:2030年までに、「科学的知識の増進、研究能力の向上、および海洋技術の移転を行う。」
ターゲット14.B:小規模漁業者を支援する
国連の定義:「小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源および市場へのアクセスを提供する。」
SDG指標14.B.1:小規模漁業者を支援する
定義:指標14.B.1は、「小規模・零細漁業のためのアクセス権を認識し保護する法令/規制/政策/制度枠組みの導入の程度に関する国別の進捗状況」です。
目標:2030年までに、「小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源および市場へのアクセスを提供する。」
さらなる研究:世界の漁獲および生産量のさらなるデータと研究は、Our World in Data(データで見る私たちの世界)の肉および海産食品の生産と消費のエントリーで見つけられます。
追加のチャート:
セクター別の世界の天然漁獲
私たちは現在、この指標のためのデータを知りません。フィードバックフォームを使用して、この指標の利用可能なデータをお知らせください。
ターゲット14.C:国際海洋法を実施し強化する
国連の定義:「「我々の求める未来」のパラグラフ158において想起されるとおり、海洋および海洋資源の保全および持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋および海洋資源の保全および持続可能な利用を強化する。」
SDG指標14.C.1:国際海洋法を実施する
定義:指標14.C.1は、「「海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)」に反映されているとおり、国際法を実施する海洋関係の手段を、法、政策、制度的枠組みを通して、批准、導入、実施を推進している国の数」です。
この指標のためのデータは、ここでは海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に署名した国の数として示されています。
このような枠組みの実装の進捗状況は、私たちの知るところでは、現時点では利用できません。
目標:2030年までに、「海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋および海洋資源の保全および持続可能な利用を強化する。」
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