世界的な生活条件の短い歴史、そして私たちがそれを知っていることが重要な理由

Japanese translation of “The short history of global living conditions and why it matters that we know it”

Never Too Late To Mend
22 min readMar 12, 2017

データを視覚化するサイトOur World in Dataに掲載された“The short history of global living conditions and why it matters that we know it”という記事の翻訳です。以下、訳文です。

世界的な生活条件の短い歴史、そして私たちがそれを知っていることが重要な理由

マックス・ローザー

これは、世界的な生活条件がどのように変化しているかを示すウェブ出版物 — Our World in Data(データで見る私たちの世界)の導入です。この文章は、以前は「5つの図で見る世界的な生活条件の歴史」というタイトルがつけられていました。

最近のある調査で、「すべての事柄を考慮に入れたとして、あなたは世界が良くなっていると思いますか? 悪くなっていると思いますか? それとも、良くも悪くもなっていないと思いますか?」という質問がされました。スウェーデンでは、10%の人が物事が良くなっていると思っていましたが、米国ではわずか6%、ドイツではわずか4%でした。世界がより良くなっていると思う人はほとんどいません。

この質問に答えるときに私たちが考慮する必要のある証拠とは何でしょうか? 質問は世界がどのように変化したのかについてのものです。そこで、私たちは歴史的な見通しを立てなければなりません。また、質問は全体としての世界についてのものであるため、答えはすべての人を考慮に入れなければなりません。その答えは、世界的な生活条件の歴史、つまり全員の歴史を考慮しなければいけません。

I. 貧困

私たちがどこから来たのかを見るためには、時間を遠くまで遡らなければなりません。30年や、50年でさえ十分ではありません。私たちの人生の中だけで世界がどのように見えるかを考えると、世界を比較的静的なもの、つまり豊かで、健康で、教育を受けた世界のこの部分と、貧しく、教育を受けておらず、病気がちなあそこの地域と考える誤りを容易に犯してしまいます。そして、世界は常にそのようであったし、これからも常にそうであるだろうと誤って結論づけてしまいます。

より長い視点をとると、世界は全く静的ではないことが非常に明確になります。今日の豊かな国々は、ほんのつい最近まで非常に貧しく、実際のところ現在の貧困国よりも悪い状況にありました。

北半球は常に南半球よりもずっと豊かである、というような静的な方法で世界を描写するのを避けるために、私たちは、200年前という生活条件が本当に劇的に変化するよりも前の時点から始めなければなりません。

研究者たちは絶対的貧困を1日あたり1.90ドル未満で生活しているものとして測定しています。このような貧困の数字は、非貨幣的な形態の収入を考慮に入れています。これは過去と現在の貧困世帯にとって、特に自給農業が存在するために、非常に重要なことです。貧困の測定は、各国の異なる物価水準によっても修正され、経時的な物価変動(インフレーション)に合わせて調整もされます。貧困は、これらの調整を考慮したいわゆる国際ドルで測定されます。

最初の図は、絶対的貧困の状態で暮らしている世界人口の割合の見積もりを示しています。1820年にはわずかなエリート層だけが高い生活水準を享受しており、大部分の人々は今日では絶対的貧困と呼ばれるであろう条件下で暮らしていました。それ以来、極度に貧しい人々の割合は絶えず低下してきました。ますます多くの世界の地域が工業化され、生産性が向上し、より多くの人々を貧困から救い出すことが可能になりました。1950年には、世界の4分の3が絶対的貧困の状態にありました。1981年にはまだ44%がその状態でした。2015年(現在私たちがデータを持っている最後の年)には、絶対的貧困の割合が10%を下回っていることが調査で示唆されています。

それは大きな成果であり、私のような成長と不平等に焦点を当てた研究者にとって、過去2世紀の間でのおそらく最も大きい成果です。もし私たちが過去2世紀にわたって世界人口が7倍に増加したことを考慮に入れるならば、これは特に注目すべきものです。下の図を「絶対数(Absolute)」の視点に切り替えて、貧困の状態の内外にいる人々の数を見てください。経済成長のない世界では、このような人口の増加は、すべての人々の収入の減少をもたらすでしょう。世界人口の7倍の増加は、全員を絶対的貧困に追いやるのに十分なものだったはずです。しかし、正反対のことが起こりました。前例のない人口増加の時代に、私たちの世界はより多くの人々により大きな繁栄をもたらし、より多くの人々を継続的に貧困から引き上げました。

生産性の向上は重要なものでした。なぜなら必要不可欠な財やサービスの不足を減らしたからです。食糧を増やし、衣服を改善し、窮屈な住宅を減らしました。生産性は、私たちの仕事の成果と私たちが仕事に注ぎ込む投入量の比率です。生産性が向上するにつれて、私たちは生産量の増加から恩恵を受けましたが、投入量の減少によっても恩恵を受けています — 週当たりの労働時間は大幅に減少しました

経済成長は人々の間の関係を変えたという点においても、非常に重要なものでした。世界が成長しない世界であり続けた長い間には、生活がより良くなる唯一の方法は、他の人の生活が悪化してしまった場合でした。あなた自身の幸運は、あなたの隣人の不運です。経済成長がこれを変えました。成長は、他の人の生活がより良くなったときでも、あなたの生活がより良くなることを可能にしました。生産性を向上させるテクノロジー(自動車、機械、通信技術)を築き上げた人たちの創意工夫は、彼らの一部を非常にお金持ちにすると同時に、他の人の生産性と所得を高めました。ゼロサム経済とプラスサム経済における生活がどのように異なるかはいくら誇張しても、し過ぎることはありません。

残念ながら、メディアは、単一の出来事やうまくいかなかったことを報道することに過度に執着しており、私たちの世界を変えるゆっくりとした発展に十分な注意を払いません。この貧困削減に関する実証的データを基にすれば、世界的な発展を報告するメディアがどのようなものになるかを具体的に示すことができます。見出しは「絶対的貧困にある人々の数は昨日から130,000人減少した」というものになるでしょうし、この見出しは一度きりではなく、1990年以降は毎日見られるでしょう。なぜなら、絶対的貧困にある人々は平均して毎日130,000人減り続けています。

(訳注:ここで、インタラクティブな図と、元のデータを見ることができます)

II. 識字能力

この期間に世界の人口の教育はどのように変化したでしょうか? 下の図は、過去2世紀にわたる識字能力のある世界の人口の割合を示しています。かつてはわずかなエリートしか読み書きができませんでした。今日の教育は、現在の豊かな国々を含めてみたとしても、やはり非常に最近の成果です。識字能力が全人口の標準となったのは、最近の2世紀のことです。

1820年には15歳以上の10人に1人だけが識字能力がありました。1930年には3人に1人になり、現在は世界全体の85%です。別の言い方をすれば、もしあなたが1800年に生きていたら、あなたが文字を読むことができない確率は10分の9でした — 今日では、10人のうち8人以上が文字を読むことができます。そして、今日の識字能力のない人の多くは老人であるため、もしあなたが若い場合には、確率ははるかに高くなります。

もしあなたが世界の問題を解決するために科学、技術、政治的自由が重要だと思うなら、そしてこれを行うために読み書きすることが役立つと思うなら、絶対数の数字を見てみるとよいでしょう。図に示されているように、今日では、15歳以上の54億人の人々のうち、85%が識字能力があります — これは46億人の人々です。1800年には、この同じ技能を持つ人は1億人もいませんでした。

(訳注:ここで、インタラクティブな図と、元のデータを見ることができます)

III. 健康

私たちが進歩を理解しない理由のひとつは、過去がどれだけ酷かったかを意識しないためです。

1800年に、私たちの先祖の健康状態は、世界の新生児の約43%が5歳の誕生日前に死亡するという状況でした。歴史的な見積もりによれば、世界全体が悲惨な環境に住んでいたことが示唆されます。異なる地域間で比較してもほとんど変わりはなく、世界のすべての国で3人に1人以上の子供が5歳になる前に死亡しました。

現代医学が健康改善の唯一の理由であると信じるのは間違いでしょう。初期においては、繁栄の高まりと社会生活の変化する性質が、医学以上に重要でした。住居と衛生設備の改善が、感染症に対する私たちの長年の闘いの見通しを好転させました。農業分野の生産性の上昇海外貿易を通じて可能になった、より健康的な食生活は、私たちが病気に対してより回復力を発揮することを可能にしました。驚くほど改善した栄養と健康によって、私たちはより賢明で身長が高くもなりました。

しかし、科学と医学も確かに重要でした。より教育された人々は、死亡率と病気をさらに減らすことを可能にする一連の科学的なブレークスルーを達成しました。特に重要なのは、19世紀後半の病気の細菌理論の発見でした。振り返ってみると、ある新しい理論がなぜそんなに重要になりえるのかを理解することは困難です。しかし、医師が死体解剖からお産に切り替わる際に手を洗うことがなかった時代において、この理論は、最終的に衛生学と公衆衛生が健康に不可欠であるということを私たちの先祖たちに確信させました。

病気の細菌理論は、抗生物質とワクチンの開発の基礎を築き、なぜ公衆衛生が非常に重要であるかを世界が知る助けになりました。公衆衛生は非常に重要でした。誰もが予防接種を受けたすべての人々から恩恵を受けており、誰もが衛生規則に従うすべての人々から利益を得ています。

これらの変化により、世界の健康は私たちの先祖には想像もできないほど改善されました。2015年の児童死亡率は、4.3%に低下しており、これは2世紀前の10分の1です。私たちが達成した進歩を理解するためには、あなたはこの長い時間の視点を持たなければなりません。

(訳注:ここで、インタラクティブな図と、元のデータを見ることができます)

IV. 自由

政治的自由と市民の自由は、発展の手段でもあり発展の目的でもあるため、発展のまさに中心にあります。ジャーナリズムと公の議論は、この自由を支える柱ですが、これらの側面の定性的評価は、実際には私たちが自由を判断する基準を上げているがために、時間の経過とともに自由度が低下していると誤って把握するというリスクを負っています。したがって、定量的な評価が、国や時間を超えて同じ尺度に対する自由度を測定するうえで役立ちます。

世界の国々を統治する政治体制の種類を測定する様々な試みがあり、政治体制のような複雑なものを捉えることは、必然的に議論を呼びます。それを迂回するような方法はありません。この分析では、私はPolity IV指数に頼りますが、これは長期的視点を提示する方法の中で最も問題が少ないためです。この指数は、完全な民主主義の場合は+10、完全な独裁制の場合は-10までの範囲で政治体制を測定します。このスペクトルの途中にある政権はアノクラシーと呼ばれています。私は、これに植民地帝国の一部として他国に支配されていた世界の国々についての情報を追加しました。

ここでも私は、過去200年間に政治的自由がどのように変化したかを知るために、時間の視点を与えたいと思います。

この図は、過去2世紀にわたり、さまざまなタイプの政治体制の下に住む人々の割合を示しています。19世紀を通じて、人口の3分の1以上が植民地体制の下に住んでおり、ほとんどすべての人が独裁的に統治された国に住んでいました。19世紀後半からの政治的自由の最初の拡大は、第二次世界大戦に至るまでに多くの国々がその地位を占めることになった権威主義的体制の台頭により打ち砕かれました。

20世紀後半には世界が大きく変化しました。植民地帝国は終わり、ますます多くの国が民主主義に変わりました。民主主義下に住む世界人口の割合は絶えず増加しました。特に重要なのは、ソビエト連邦の崩壊であり、さらに多くの国々が民主化されました。今や世界の2人に1人以上が民主主義下に暮らしています。

現在、独裁政権下に暮らす人々の大部分(5人中4人)は、独裁国家のひとつである中国に住んでいます。

人権もまた同様に、同じ時間においてや、時間の経過とともに一貫した測定をすることは困難です。最良の実証的データは、停滞の時代の後、過去30年間に人権保護が世界的に改善されたことを示しています。

(訳注:ここで、インタラクティブな図と、元のデータを見ることができます)

V. 人口

ここまでの図のいずれでも「絶対数(Absolute)」をクリックすると、過去2世紀にわたる世界の人口の増加が見られます。世界の人口は1800年に約10億人で、それ以降7倍に増加しました。

人口の増加は、人間の資源需要を増加させ、人類の環境への影響を増幅しました。しかし、この世界人口の増加は、何の希望も持てない悲惨さ以上のものを呼び起こすでしょう。なによりもまず、この増加はとてつもない成果を示しています。それは、私たちの先祖が数千年前に死亡したような割合で人間が死ぬのを、人類が止めつつあることを示しているのです。

近代化以前の時代では、出生率は高く、女性1人あたり5~6人の子供が通常でした。人口の増加を低水準に抑えたのは、非常に高い死亡率であり、それは多くの子供が生殖年齢に達する前に死亡したことを意味していました。世界人口の増加は、人類が死との闘いに勝ち始めるようになった後に続きました。過去100年ほどの間に、世界の平均余命は倍増しました。

人口の増加は、出生率と死亡率が同時に低下しなかったことの結果です。急速な人口増加は、出生率が過去の不健全な環境の時と同じくらい高いものの、死亡率がすでに私たちの時代ほどの低レベルにまで低下している時に起こりました。

過去200年間にわたって、私たちがさまざまな国で見てきたのは、子供たちが死ぬ可能性が大幅に低下したことを女性が認識すると、彼女たちは適応して、より少ない子供を持つ選択をしたということです。その結果、人口の増加が終わります。この高い死亡率と出生率から低い死亡率と出生率への移行は、人口転換と呼ばれています。最初に工業化した国々では、それは少なくとも19世紀半ばから20世紀半ばまで続いていました。イギリスでは、6人以上の子供から3人以下の子供まで出生率が低下するには、95年かかりました。後に続く国々は、この転換をもっと早く達成することができました。韓国は女性1人当たり6人以上の子供から3人以下になるまでわずか18年でしたが、イランはわずか10年間で達成しました。

それぞれの国がこの転換を経たように、世界もこの転換を経験しています。世界の出生率は、過去50年間で半分以上減り、1960年代初めの女性1人あたり5人以上の子供から今日では2.5人以下にまでなっています。これは、世界が人口転換にうまく入り、世界人口の増加が実際に半世紀前にピークを迎えたことを意味します。

今ではどこでも出生率の低下が見られており、私たちは人口増加の終焉に到達しています。20世紀の間に世界人口は4倍になりましたが、今世紀中にはもう倍増することはありません。そして、国連は今世紀の終わりに年率0.1%の緩やかな人口増加を期待していますが、IIASAの人口統計学者たちは2075年頃に人口増加が終わると予想しています。

VI. 教育

この2世紀にわたる成果は、知識と教育の拡大なしには何も達成できなかったかもしれません。私たちが生きる方法についての革命は、教育によって推進されたばかりでなく、教育の重要性をこれまで以上に増やすことにもなりました。

また、教育は世界的に改善していることがわかっています。予測が限られている他の多くの社会的側面とは対照的に、教育は将来についていくつかの有用な予測を行うことができる側面であると私は考えています。単純な理由として、今日の教育の構成が、明日の教育についていくつかのことを教えてくれるからです。今日に文字が読める若い女性は、2070年に文字が読める老人になり、現在に中等教育を受けている学生は、将来に中等教育を受けた卒業生になります。

今日の若い人口群は、老齢の人口群よりはるかに教育を受けています。人口群のサイズが減少していくにつれ、すでに設置されている学校は次世代に対してよりよい効果を提供します。

下の図は、2100年までの世界人口の規模と教育の構成について、IIASA研究所の予測を示しています。これは将来へ向けた興味深い見通しです。研究者たちは、今日の世界の低下した出生率では、子供の数が今から減少すると予想しています。将来、この星に今日よりも多い子供がいるということは決して起こりません。前述のように、IIASAの研究者たちは、世界の人口が2070年にピークに達し、その後減少すると予想しています。

教育の内訳に焦点を当てると、2100年までに正式な教育を受けない人はほとんどおらず、少なくとも中等教育を受けた70億以上の人間が存在することが予測されます。

健康を改善し、政治的自由を拡大し、貧困を終わらせるために教育は非常に重要であり、この見通しは非常に勇気付けられるものです。

(訳注:ここで、インタラクティブな図と、元のデータを見ることができます)

VII. なぜ、私たちは世界がどのように変わっているのかを知らないのでしょうか?

この世界的な生活条件の歴史を伝えようとした動機は、私たちの大部分が持っている地球規模の発展に対する非常に否定的な見方を立証した研究結果でした。10人のうち9人以上が、世界がより良くなっているとは考えていません。それは実証的な証拠にどれだけ適合しているでしょうか?

私は、メディアが非難されるべき唯一の対象だとは思いませんが、彼らがその一部について責任を負うと考えています。これは、メディアが私たちに対してどのように世界が変化しているかを教えてはくれず、世界がうまくいかなかったところを伝えているからです。

メディアがうまくいかなかったことに焦点を当てる理由のひとつは、メディアは単一の出来事に焦点を当て、単一の出来事はしばしば悪いものであることが多いためです。ニュースを見てください。飛行機の墜落、テロ攻撃、自然災害、私たちが満足していない選挙の結果。一方、前向きな発展は、しばしば非常にゆっくりと起こり、イベントに執着するメディアの見出しを飾ることは決してありません。

長期的な発展に関する量的情報を提示することができないメディア、そして教育システムの結果、大多数の人々が世界的な発展について完全に無知のままとなっています。世界の絶対的貧困の減少 — どのような基準で見ても私たちの時代における最も重要な発展 — でさえ、英国(10%)または米国(5%)の人口のほんの一部にしか知られていません。両国とも、過半数の人々が、絶対的貧困の状態で生活している人々の割合が増加していると考えています!米国人の3分の2は、絶対的貧困の割合が「ほぼ倍増」しているとさえ思っています。私たちが地球規模の発展について無知である場合、世界がより良くなっていると思う人がほとんどいないことは、驚くに値しません。

すべての人々の歴史を伝える唯一の方法は、統計を使用することです。これによってのみ、私たちはこの200年に生きていた220億人の人々の生活の概観を得ることが望めます。これらの統計により明らかなように、この発展は私たちの世界的な生活条件をゆっくりと、しかし着実に変えています。それらは、私のチームと私がここ数年にわたって構築してきた、このオンライン出版物「Our World in Data」に報告されています。私たちは「Our World in Data」を、これらの長期的な発展を示す資料として、またイベントに焦点を当てたニュースの情報を補完するものとして見ています。

過去200年間に全員の生活がどのように変化したかという歴史を伝えることの難しさは、あなたがひとつの話を選ぶことができないということに表されます。個々の人々に関する物語は、人の興味を強く引きますし、私たちはそのような話を好みますが、それらは世界がどのように変化したかを代表することはできません。世界全体がどのように変化したかを表現するためには、多くの、本当に多くの物語を一度に話さなければなりません。それが統計です。

私たちが達成した生活条件の変容を、あなたや私自身が理解しやすくするために、私は要約の図を作成しました。この図では、この200年の歴史を100人の集団の歴史として想像しており、近代世界の過渡的な時代を生きていたら、彼らの生活がどのように変わったのかを見ることができます。

ここで、200年の図の高解像度の画像をダウンロードして、印刷することができます。

VIII. 世界がどのように変わっているのかを私たちが知らないことが問題である理由

私たちの生活条件の成功した変容は、協力があってこそ可能なものでした。そのような変容は、一人の人間が達成することは不可能でしょう。そのような改善に必要なのは、私たちの集合的な頭脳と協調的な努力です。

残された大きな問題はいくつもあります。上記のいずれも、私たちが満足にひたる理由を与えてはなりません。逆に、それは今でも多くの仕事を行う必要があることを示しています。貧困の迅速な削減を達成したことはすばらしい成果ですが、今日でも10人に1人が絶対的貧困に陥っているという事実は受け入れられるものではありません。私たちはまた、まだ残っている、あるいは導入されようとしている私たちの自由に対する制限を受け入れてはなりません。そして、人類が環境に及ぼす影響は、私たちが依存する生物圏と気候を危険にさらし、持続可能ではないレベルであることも明らかです。私たちは今すぐ私たちの影響を減らす必要があります。

私たちがこれらの問題に対して進歩を成し遂げることができるかは、確実からは程遠いものです。世界がこれまでのような生活条件の改善の傾向を確実に維持するような、絶対確実の法則はありません。しかし、長期的な視点から明らかなことは、過去200年という時間が、これらの問題を解決するためにこれまで以上に有利な立場に私たちを連れてきたことです。問題を解決すること、特に大きな問題を解決することは、常に協調的な取り組みです。そして、今日一緒に働くことができる人々のグループは、これまでにこの惑星上にあったどのグループよりもはるかに強力なグループです。私たちは時間の経過に伴う変化を見てきたところです。今日の世界はより健康で、より豊かで、より良い教育を受けています。

私たちが歴史を励ましの源にするためには、私たちの歴史を知らなければなりません。私たちの歴史と時代について、私たちが私たち自身に語る物語が問題なのです。より良い未来を築くための私たちの希望と努力は、過去の認識と密接に結びついているため、これまでの世界的な発展を理解し伝えることが重要なのです。私たち自身や仲間の人類の努力についての前向きな見通しは、私たちの努力が成果を上げるための必要不可欠な条件です。私たちが生活条件を改善するために長い道のりを歩んできたのを知っていること、そして私たちの仕事には価値があるという考えは、私たち全員にとって、個人が自尊心を持つことと同等の意味を持ちます。自己を改善するために必要な条件です。

自由な人々への信頼なくして自由は不可能です。もし私たちが自分たちの歴史に気づかず、真実とは正反対のことを誤って信じているとき、私たちはお互いへの信頼を失う危険を犯しているのです。

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